英語を勉強したいのだけれど、どの参考書から始めればいいのかしら・・・と思われている方もいらっしゃるかもしれません。本屋さんに行くと、英語の参考書に溢れていていますね。日本ほど英語の参考書が多い国はないと思います。また英語学習法も流行り廃りがあり、結局何がいいのか分からない!と頭を抱えてしまった経験もあるのでは?

そんな英語学習初心者にお勧めの本が「絵で見る英語」。この本は世界で一番売れている英語入門書で、1945年の出版以来、40カ国以上で出版され、日本でも既に30年以上の歴史があります。著者のI.A.リチャーズは、20世紀英語圏の文芸批評家として、素晴らしい実力の持ち主で、異文化の中で英語を学ぶための教材作りに尽力してきました。

その経験の中で彼の得た言語習得に関する答えは、「入門の段階においては母語を媒介しないのが良い」、つまり英語を学び、習得するためには、日本語で英語を学んでいてはだめだ、英語で英語を学ばなければならない、というものでした。そんな彼の知識が、この絵で見る英語には集約されています。この教材の特徴はタイトル通り、絵を通じて英語を学んでいくことです。絵で見ることによって、言葉では理解し辛い英語のニュアンスや意味の違いなどを、ビジュアル的な感覚として取り入れることができるのです。

日本の英語教育も随分変わってきましたが、まだまだ翻訳英語的な要素が強いように思います。つまり「日本語から英語をつくる」というやり方ですが、このやり方でもどうしても英語と日本語にズレがでてきます。例えば、「私は(散髪屋で)髪を切りました」は「I cut my hair」ではなく、使役動詞を使った「I had my hair cut」になります。文字上で直訳すると、意味が違ってくるのです。でも文字ではなく、イメージでつかむ事によって、その主体となるものの状態を的確に言い表す事ができるようになります。

日本人が英文を書く際、よく間違えるのが冠詞・時制・前置詞なのですが、これらはイメージする事によって使いわけができるようになります。特に一番間違いが多いのが冠詞。日本語には、英語の冠詞の「a」と「the」に当たるものがないので、従来のように「a」を「一つの」、「the」を「その」なんて訳していると、いつまでたっても英語らしい使い方ができません。前置詞のonも「~の上に」という日本語訳ではなく、「ひっついている」というイメージを思い浮かべる事ができれば、自然な使い方が身についてきます。

この本の著者は、「言語習得のためには母語を介さない方がよい」と理論づけていますが、日本語→英語と翻訳するのではなく、英語を英語で学ぶ(イメージでつかむ)事によって効率よく英語を学び事ができます。未だにこの本が英語入門書のベストセラーに君臨している理由は、この英語をイメージで掴む方法が、効果的・効率的に結果を出し続けているからなのです。

英語学習って、修行僧のように文法問題を解きまくったり、単語をゴリゴリ覚えていくものではなく、英語を英語のまま理解する回路を作ることだと思います。この教材は全くのゼロからの英語学習者や、ほとんど英語を忘れている人にも、日本語を介さず「絵と英語」だけで学べ、少ない語彙力で日常生活を表現するのに十分な英語力を身に付けていくことができるようになっています。

この春から英語学習を始めたいと決心された方もいると思いますが、もし、どの教材から始めればいいか迷っておられるのでしたら、ぜひこの本をお試しください!