中学生の英語嫌いが急上昇??

 

ここ2~3年の顕著な傾向なのですが、中学生のお子さんをお持ちの保護者の方から、中学英語についていけなくなったお子さんのご相談をよく受けます。当教室の生徒さんをみていると、小学生のうちから英検2級に合格した生徒さんもいたりと、開校当時の14年前とは考えられないくらい生徒さんの英語力が向上しており、今の子供はすごいな~と感心する事があるのですが、あきらかに英語が好きな子、嫌いな子のギャップが広がっているように思います。

 

特に中学1年生で英語に躓いてしまい、それからますます英語嫌いになったケースが多いような印象です。その原因の第1は、やはり小学校英語から中学英語への移行がうまくできていない為ではないかと思います。

 

小学生で習うべき単語は600~700,ただし、「話す聴く」が中心で「読む書く」にはあまり時間をかけていません。それが中学生になったとたん、小学生で学習した単語を子供達は知っているという前提で授業が進んでいきます。中学生英語が小学生英語の延長だとのんびり構えていると、ガツンとショックを受けます。新しい単語を暗記するだけで精一杯なのに、それプラス小学生英語の暗記は、子供にとって大きな負担になります。特に「字」で(を)勉強する事が苦手なお子さんにとっては、字の綴りと発音のルール(フォニックス)を学ばないまま”there, little, every, but”(中1の4月で習う単語です)という複雑なスペルを暗記しなければならないのは、拷問(?)に近いような気もします。

 

あと文法学習が中途半端なのも、英語嫌いを生み出す一つの利用かと思います。中学校英語は「がっつり文法学習」というイメージがありますが、もちろん学習すべき文法事項は多いのだけれど、それらを定着させるための説明と反復練習が圧倒的に足りていません。中学3年生で仮定法が導入されるのですが、見開き反ページしか説明文がありません。were や had, could やwould の使い方を半ページの説明で理解させるのは無理ですし、あまりに雑すぎるように思います。また仮定法を使いこなすためには、今まで習ってきた文法事項がきちんと整理できてなければなりません。ちなみに中1で習う文法事項は:

 

be動詞と一般動詞

名詞

疑問詞

三単現

代名詞

現在進行形

過去形と過去進行形

 

英語の文法でもっとも大切な背骨の部分を学習するので、1年生できっちり文法を整理する事ができていないと、2年生3年生の英語についていけなくなります。3年生になっても、一般動詞とbe動詞の使い分けがちゃんとできない生徒も珍しくありません。

 

また、スピーキングも重視しなければならないため、中学2年生で習う動名詞が中学1年生の会話文にも出てきたりして、「とりあえず暗記して」というのは簡単ですが、子供は混乱してしまいます。

 

英会話教室や英語塾に通われている生徒さんと、中学1年生で本格的に英語を始める生徒さんとでは土壌が全く違います。レベルがバラバラの子供達を指導する先生方も本当に大変だと思うし、もっと丁寧に指導したいと思っても、カリキュラムをこなすのに精一杯というのが現状ではないでしょうか?

 

教育格差や情報格差が広がる中、英語の実力格差もますます広がってくと思います。まずは親御さんがこうした現状を把握し、小学生英語から中学生英語の移行がスムーズにできるよう対策を練っていただく事が重要です。具体的には「単語」。小学生の教科書に出てくる単語を一緒に声に出して読んだり、意味を確認してみて下さい。それらの単語が書けるようになったらベストですが、とりあえず読める・意味が分かる状態にしていただくだけでも、中学英語に対する心の態度が違ってきます。「楽しい・わかる」という気持ちがあれば、モチベーションに繋げていくことができます。逆に「分からない・つまらない」という気持ちになると、分かるものの分からなくなるし、中学生で英語嫌いになると、一生その気持ちを引きずる場合がよくあります。

 

英語が分かるって本当に楽しいし、受験やテストといった小さな枠組みだけではなく、ワクワククするような冒険の可能性を秘めている素敵なスキルなので、語学学習に最適な中学時代に、英語に対する健全な態度を育んでもらいたいと心より願っています。