小学校3~4年生くらいになると、子供達の英語の発音に変化が見え始めます。あんなにきれいに発音できていたのに、なぜカタカナ英語なの??と不思議に思っていたのですが、これは学校で学習するローマ字が大きく影響しているようです。ローマ字は、日本語の固有名詞を英語で表記するには便利ですが、それ以外はあまり役にたたないように個人的には思っています。むしろ英語学習者にとっては大きな障害となる事の方が多いようにも思います。子供のスペリングにもローマ字汚染の影響が表れており、子供のローマ字学習って、英語学習においては弊害でしかない、とまで思うようになりました。

 

ローマ字読みが染みついてしまうと、英語らしい発音ができなくなります。そしていったんこのカタカナ(ローマ字読み)英語が身についてしまうと、それを修正するのは本当に難しいです。よく、発音が悪くてもなんとか通じるから大丈夫、なんて言う人がいますが、カタカナ英語が通じるのは日本人と、カタカナ英語に慣れている外国人くらいです。ちなみに、日本語訛りは世界で最も通じない英語アクセントの1つです。

 

発音に関しては、やはり年齢が若ければ若いほど有利です。アークで学習されている幼稚園児の生徒さんは聞いたままをそのまま発音してくれるので、ネイティブと間違えてしまうほど、発音がきれいなお子さんはたくさんいます。でも小学校高学年くらいから英語を始める場合は、発音は意識して練習しないと絶対に上手くなりません(涙)。そもそも日本語と英語では音の数がまったく違うのです。日本語の音は100くらいで、一方英語の音は300くらいあります。日本人にとって練習しなければ出せない音が約200ほど英語にはあるのです。r, l, t, d, v, f, th等は代表的な音ですが、出せない音は、一番近い日本語の音に置き換えてしまう傾向にあります。「t→と」、「d→ど」、「f→ふ」のように・・・。これはネイティブにとったら非常におかしな発音に聞こえます。

 

そして、母音。日本の子供達にとっては子音より、母音の発音の方がハードルが高いように思います。特にローマ字が導入され、母音は A(ア)E(エ)I(イ)O(オ)U(ウ)の5つだけだと刷り込まれてしまうと、手が付けられないくらい発音のレベルが低下します。英語の母音は数え方次第でいくらでもあります。その上に、単語の綴りと発音が違いますから、まずは音の出し方を覚える必要があります。カタカナで「ア」と書く音だけでも、8~10通りの音の出し方があります。

 

では、母音とはいったいなんなのでしょうか?母音は

 

➀有声音なので喉から声が出る。

②肺から出る空気の通り道をふさがない。

③だから止まらないで持続する。

 

という性質があり、よく通る、よく響く音です。ゆっくりと「あいうえお」と言ってみればわかるかと思います。英語の話し言葉の要はこの母音なのです。英語をわかりやすく正確に話すには、母音をはっきり正確に発音することが肝心です。子音をできるだけ軽く、母音をはっきり発音するのが英語の話し方の大原則。英語独特のリズムやイントネーションは、この子音と母音の組み合わせから生まれます。米式の発音は特にそうです。日本語は逆に子音が強く、母音が聞こえないことが多いので、カタカナ式の発音は少し複雑な話になると通じなくなります。また、英語を聞き取る場合も、日本人は子音をすべて有声で聞こうとするので、特に省略の多い普段の会話がわからなくなるのです。子音は聞こえないことも多いという事を覚えておかなければなりません。

 

それぞれの音を出すには、英語を話す時の筋肉を鍛える必要があります。アークアカデミーの多読クラスでは音読をする事が大切な宿題となっていますが、音読やシャドウイングは、英語を話す為の筋トレだとイメージしていただければいいかと思います。スポーツと一緒で、頭にだけではなく、音が出る場所を体に覚えさせる訓練が必要です。私自身、初めて海外に行った時、「really」という単語が何度言っても通じず、情けない思いをしましたが、発音の仕方が分かっていればたいして難しくなかったのになと思っています。

 

英語はやろうと思えば何歳からでも始められます!でも、ローマ字に汚染(?)される前に、英語は英語の音があり、それを素直に「聞く・発話」する練習をしっかりすることで、ローマ字の嵐に耐えていける英語耳と筋肉を維持できるのではと思います。