映画「リンカーン」を観てきました!考えて見れば帰国して以来、映画館で映画を鑑賞したのは今日が初めて。忙しかったのもありますが、あえて映画館まで行って観たいと思う映画がなかったような気がします。しかし、この「リンカ-ン」は違いました。なんせクリストファーにとっては最も尊敬する人物の1人で、彼からリンカーンにまつわる話を何度も何度も聞かされるうちに、私自身とてもこの人物に興味を持ち始めていました。
この映画は、アメリカ史上最も愛されている大統領エイブラハム・リンカーンがアメリカ合衆国の第16代大統領として過ごした最後の混乱の数か月を描いた物語です。
舞台は、1865年の米国。南北戦争が長引き、厭戦気分が広がっていました。大統領に再選されたリンカーンは、奴隷解放を実現するために、合衆国憲法修正第13条を可決しようとします。
激動の時代を背景に、米国の民主主義を象徴する人物を描くとなれば、ダイナミックなドラマ、映像を想像するかもしれませんが、ほぼ全編にわたって描かれるのは、議会での採決に向けての多数派工作の成り行きでした。崇高な理念を実現するために、あらゆる手段を講じようとする姿勢は、国民のヒーローというより、真の政治家としてのリンカーンを描き出そうとしており、それがとても印象的でした。また、映画のクライマックスでもある憲法修正第13条が可決されるシーンは感動的でした。当時は黒人がアメリカ合衆国の大統領になる日など考えられなかったでしょうね。まさに歴史と後世の人々の運命を変えた人物だと思います。
中学校の英語の教科書にリンカーンの有名なゲディスバーグの演説の1部「government of the people, by the people, for the people(日本語訳『人民の人民による人民のための政治』)が書かれていたのを思い出しますが、リンカーンが演説をした際、祈るような小声で演説を始めだし、あまりにも短い演説だったため、演説中のリンカーンを撮影できたカメラマンはおらず、たまたま書き留めていた記者がいたおかげで世間に知れ渡ったそうです。りンカーンの演説の中では最も有名なものであり、また歴代大統領の演説の中でも常に第一に取り上げられるもので、独立宣言、合衆国憲法と並んで、アメリカ史に特別な位置を占める演説となっています(ちなみにクリストファーはこの演説を読む度涙ぐんでいますが・・・)。演説には自由と平等の原則がみごとに表現されており、こうした思想を持ったリーダーを輩出したアメリカは(たくさんの問題をかかえてはいますが)すごい国だなと改めて思いました。
こちらが全文です。すばらしい文ですので、ぜひ英文で読んでみてください。
Abraham Lincoln - The Gettysburg Address
Four score and seven years ago our fathers brought forth on this continent, a new nation, conceived in Liberty, and dedicated to the proposition that all men are created equal.
Now we are engaged in a great civil war, testing whether that nation, or any nation so conceived and so dedicated, can long endure. We are met on a great battle-field of that war. We have come to dedicate a portion of that field, as a final resting place for those who here gave their lives that that nation might live. It is altogether fitting and proper that we should do this.
But, in a larger sense, we can not dedicate – we can not consecrate – we can not hallow – this ground. The brave men, living and dead, who struggled here, have consecrated it, far above our poor power to add or detract. The world will little note, nor long remember what we say here, but it can never forget what they did here. It is for us the living, rather, to be dedicated here to the unfinished work which they who fought here have thus far so nobly advanced. It is rather for us to be here dedicated to the great task remaining before us – that from these honored dead we take increased devotion to that cause for which they gave the last full measure of devotion – that we here highly resolve that these dead shall not have died in vain – that this nation, under God, shall have a new birth of freedom—and that government of the people, by the people, for the people, shall not perish from the earth.
(日本語訳)
87年前、われわれの父祖たちは、自由の精神にはぐくまれ、人はみな平等に創られているという信条にささげられた新しい国家を、この大陸に誕生させた。
今われわれは、一大内戦のさなかにあり、戦うことにより、自由の精神をはぐくみ、自由の心情にささげられたこの国家が、或いは、このようなあらゆる 国家が、長く存続することは可能なのかどうかを試しているわけである。われわれはそのような戦争に一大激戦の地で、相会している。われわれはこの国家が生 き永らえるようにと、ここで生命を捧げた人々の最後の安息の場所として、この戦場の一部をささげるためにやって来た。われわれがそうすることは、まことに 適切であり好ましいことである。
しかし、さらに大きな意味で、われわれは、この土地をささげることはできない。清めささげることもできない。聖別することもできない。足すことも引 くこともできない、われわれの貧弱な力をはるかに超越し、生き残った者、戦死した者とを問わず、ここで闘った勇敢な人々がすでに、この土地を清めささげて いるからである。世界は、われわれがここで述べることに、さして注意を払わず、長く記憶にとどめることもないだろう。しかし、彼らがここで成した事を決して忘れ去ることはできない。ここで戦った人々が気高くもここまで勇敢に推し進めてきた未完の事業にここでささげるべきは、むしろ生きているわれわれなので ある。われわれの目の前に残された偉大な事業にここで身をささげるべきは、むしろわれわれ自身なのである。―それは、名誉ある戦死者たちが、最後の全力を 尽くして身命をささげた偉大な大義に対して、彼らの後を受け継いで、われわれが一層の献身を決意することであり、これらの戦死者の死を決して無駄にしない ために、この国に神の下で自由の新しい誕生を迎えさせるために、そして、人民の人民による人民のための政治を地上から決して絶滅させないために、われわれ がここで固く決意することである。
