refugee

「難民」と聞くとみなさんはどういうイメージを持っていますか?
最近はテレビや新聞のニュースでは毎日のように見たり聞いたりする国際問題ですが、何となく、自分とは関係がない遠くの国のでき事のように受け取られているかもしれません。

私が初めて難民の現実を直視したのは、アフリカのケニアにあるカコマ難民キャンプ場を訪れた時でした。スーダンの内戦で発生した難民を保護する目的で設立されたキャンプですが、エチオピア、ブルンジ、ルワンダ、コンゴ、エリトリア、ウガンダ、ソマリアの計8ヶ国籍・多民族の難民が共生していました。日中は40度を越す半砂漠地帯。腰抜けの私はキャンプ場に到着した途端帰りたくなりました・・しかし、そこで見たものは、私と同じ「人間」が生きている、ということでした。当たり前の事ですが、私は出会いを通してはじめてこの当たり前の事実を実感することができました。テントやバラック小屋に住み、所持品も生きていくための最低限しかもたない彼ら、それでも日本から来た特別なゲストとして、私は精一杯のおもてなしで彼らの「家」に迎え入れられました。私のつたないアムハリック(エチオピアで使われている言語の1つ)ではなかなか気持ちを伝えることはできませんでしたが、言葉以上のコミュニケーションも体験しました。
難民キャンプの中では、国を追われ生きる場所を捜し求める人間の苦悩もありましたが、笑いもあり、涙もあり、そしてこんな状況に置かれていても生きようとする人間の強さや希望もありました。もはや私にとって彼らは「難民」ではなく、生や死、喜びや悲しみ、憎しみや慰め、そういったものをすべて包括した「人間」となっていました。

2015年8月末時点では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が把握しているだけでも408万9千人がシリアの紛争によって国外へ逃れているそうです。その数はおよそシリアの人口の半数。この深刻な国際問題に、わが国の首相は記者会見でロイターの質問に答えていたのですが、国際的感覚や倫理観の低さ、そして人間としての冷たさに怒りを通り越し、あきれてしまいました。
こちらが安部首相によるコメント:
「そして、今回の難民に対する対応の問題であります。これはまさに国際社会で連携して取り組まなければいけない課題であろうと思います。人口問題として申し上げれば、我々はいわば移民を受け入れるよりも前にやるべきことがあり、それは女性の活躍であり、あるいは高齢者の活躍であり、そして出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があるということでもあります。同時にこの難民の問題については、日本は日本としての責任を果たしていきたいと考えておりまして、それはまさに難民を生み出す土壌そのものを変えていくために、日本としては貢献をしていきたいと考えております。」

難民は人口問題ではなく、あきらかに人権の問題だと思います。しかし、わが国の首相は難民を労働力としての「移民」としてしか見ていない、要するに国の利益にならないものはいりません、ということを言っているようです。また、「難民を生み出す土壌そのものを変えていくため貢献したい」と言っていますが、難民を生み出す土壌を作った国の後方支援を「積極的平和主義」と謳い推し進めているのは誰なのでしょうか?

こちらのページはスウェーデンの写真家マグナス・ウェンマン氏による、「子供たちはどこで寝ているのか」というタイトルの写真シリーズで、シリア内戦から逃れ、必死に生きる子供たちを撮影しています。→★

安部首相に聞きたいです。人間の顔が見えますか?彼らの中にあなたのお子さんの姿が見えませんか?と。

もちろん、難民を受け入れるとなると、多くの問題やチャレンジが出てくるとは思います。私達の生活が少し不便になるかもしれないし、我慢することも必ず出てくると思います。でもそれが「共に生きる」ということではないでしょうか。
現在日本ではシリア人で日本に難民申請している方は60数名で(たった60数名でも人口問題にしてしまうところがすごい)、難民として受け入れられたのはわずか3名。ちなみに世界では:

(ヨーロッパ)
・ドイツ=今年だけで80万人を受け入れることを表明。
・フィンランド=今年の受け入れ予定を昨年の3600人から3万人に増やした。
・ハンガリー=今年14万人以上が入国。その多くがドイツに移動中。南部セルビア国境に高さ3.5mの「壁」を築き、今月15日までに国境を閉鎖するとしている。
・フランス=オランド首相が今後2年間で2万4000人分の受け入れを表明
・イギリス=キャメロン首相が5年で2万人の受け入れを表明
・バチカン=フランシスコ法王が全教区に最低1家族を受け入れるよう要請
・スウェーデン=今年7万4000人を受け入れる
・イタリア=北アフリカから渡ってきた12万人を受け入れ
・トルコ=世界最多の190万人以上のシリア人が国境を超えて来ている。その約3分の1が政府運営のキャンプで暮らしているが、他は拡散している。

(中東)
・レバノン=110万 〜150万人の認定・非認定難民を受け入れ
・ヨルダン=政府は140万人のシリア人を受け入れているとしているが、国連の調べでは約63万人という数字も
・カタール、UAE、サウジアラビア=裕福な湾岸諸国が援助の手を全く差し伸べていないという批判が人権団体から寄せられている
・イスラエル=シリアと国境を接する国で唯一シリア難民を受け入れていない。

(その他)
・オーストラリア=1万2000人のシリア難民受け入れを表明
・アメリカ=来年までに最低1万人のシリア難民受け入れる。来年は難民受け入れをトータルで5000人増の7万5000人とする。
・ベネズエラ=マドゥロ大統領が2万人受け入れ準備を命じる。
・ブラジル=昨年1405人を受け入れ、今年も「門戸を広げる」と表明。
・日本=昨年、シリア難民を含む5000人が亡命申請し、受け入れたのはトータルで11人(シリア人は累計で3人)。さらに基準を厳しくすることを検討中。

世界と比べるといかに最低のレベルに日本がいるか分りますよね。
で、本当に難民を受け入れる素地がこの国にはないのでしょうか?日本には800万戸の空き家があるそうですが、創意工夫によってはこうした空き家も再び人の命を救うスペースとして利用できるのでは?
ちなみにNPO法人「難民を助ける会」によると、過去にインドネシア難民を一万人受け入れた実績を元に、日本はシリア難民を年間1000人受け入れることができるといっています。

「絆」や「おもてなし」という言葉がもてはやされましたが、こんな情勢だからこそ、日本人が本来もっているこうした美徳を実践し、傷を分け合い、重荷を担い合い、世界の人々が共に生きる社会をビジョンとして持ち、私達が今できることをしていきたいですね。絵空事と笑われるかもしれませんが、私はそうした道を選びたいと思いますし、そうした選択こそが真の国際人の生き方のように思います。

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