皆さんはエスニックジョークをご存知ですか?

エスニックジョーク とは、ある民族の民族性、もしくはある国の国民性を端的にあらわすような話によって笑いを誘うジョークのことです。国民性や民族性を大げさに皮肉るということで、笑うに笑えない時もありますが、自分の意志で選択して行動していると思っていたことが、実は文化によって支配されている場合が多いという事にも気づかされます。

 

このエスニックジョークに沈没船ジョークと言うものがあります。

豪華客船が沈没して、多国籍の人々が、救命ボートに乗りました。しかし定員オーバーで、男の人たちに降りてもらわないと沈んでしまいます。

そこで、人々はアメリカ人に対しては、「あなたはここでヒーローになれる」と言いました。アメリカ人は、ガッツポーズをして海に飛び込みました。

次にイギリス人に対して「あなたは紳士だ」 と言いました。イギリス人は、うなずいて海に飛び込みました。

ドイツ人に対しては「あなたは、飛び込まなくてはならない、それがルールだ」 と言いました。ドイツ人は納得して海に飛び込みました。

日本人に対しては「あなた、飛び込まなくていいんですか?ほかの男の人は、みんな飛び込みましたよ」と言われました。すると日本人は、左右を見渡すと慌てて海に飛び込みました。

中国人に対しては「海に美味しそうな魚がいっぱい泳いでますよ」と言いました。中国人は、上着を脱いで網代わりにして海に飛び込みました。

韓国人に対して言おうとした時、ある一人がそれを止めました。「何故止めるのですか?」

「やめておけ、後で服が濡れたと謝罪と賠償を要求される」

 

これが世界的に日本の国民性として認知されているというのは、若干皮肉なことではありますが、コロナ関連の現象で、この国民性は顕著に表れてきているなと感じています。法治国家ではなく村社会??と感じてしまう事もしばしば(泣)。

それはさておき、この「みんながしている」というメッセージが、明らかに私達日本人の行動を促す原動力になるのだったら、「グローバル社会で活躍できるわよ~」とか、「英語ができなければ将来大変よ~」とか、「世界中にお友達ができて楽しいわよ~」なんていう言葉より、「みんなやっているわよ~」という言葉の方が、親も子もなんだか安心して行動できるような気がします。

私事で恐縮ですが、我が家の中1になる長男は、今年より学校に通うのではなく、基本家庭で学習するホームスクーリングという選択をしました。私達親も10年ほど考え抜いた事で、全力で息子をサポートしてあげたいとは思っているのですが、みんなと違う選択をしている、という事実に不安になってしまう事もあります。良し悪しに関わらず、日本人の私にとって「みんなと一緒」は安心感を得られるものだなと実感しています。一方、アメリカ人の夫にとって「みんなと一緒」は危険な場合が多いという認識のようです。真理は常に「狭き門」にある、という強い信念には感心させられますが・・

「英語はみんなやっているわよ」というのはけっして脅しでも(?)嘘でもなく、「英語がしゃべれて当たり前」な地域は日本でもたくさんあります。東京に住んでいる知人のご近所さんは、帰国子女やインターに通っているお子さんが多いらしく、英語と日本語がしゃべれて当然の雰囲気の中で生活しているようです。当校でも「英語で多読クラブ」というクラスがありますが、英語での質疑応答やプレゼンなどが活発に行われていますし、去年のクリスマスパーティーでは、生徒さん数名に詩の暗唱を皆の前で発表してもらったのですが、それを見て英語が勉強したい、と思ったお子さんも何人かいらっしゃいます。「自分と同世代の子が英語で楽しそうに話している」というのを目の当たりにすればカルチャーショックを受けると思いますし、「え~~~すごい!」という感覚が、英語を勉強したいという動機に繋がっていくケースも珍しくありません。

やる気スイッチの入れ方というのは英語だけでなく学習において永遠のテーマです。自ら夢を持ち自発的に学んでくれるようになるのが理想だというのはわかっていますが、それは現実的にはなかなか難しいこと。英語を始めるきっかけとして、「みんなやっている」というメッセージで動機付けをしてあげて、「英語って面白い」と子供が感じるように軌道修正をしていくのも悪くないようにも思います。また、英語が身に付くためには継続するしかありませんが、継続するには親御さんのサポートは必須です。親御さんのモチベーションを保つためにも「みんなやっている」環境を意識的に見たり聞いたりするのもよいかもしれません。

世界で活躍!英語で国際協力!なんていう華やかな言葉より、少し肩の力をぬいて、現実的な言葉で動機を促してみるのも人によっては効果的かも??

どうせなら、ゆるやかな「同調圧力」が英語力の底上げとして機能できればよいのにな~と、「マスク警察」などのニュースを憂いを持って眺めながら、そんな事をぼんやり考えています。