先週英検を受験された皆さん、本当に頑張りましたね!英検をきっかけに、より英語に対する知識と興味が深まると素晴らしいと思います。

英検は英語の4技能がテストされますが、小さい頃から英語に触れているお子さんは、やはりリスニングに強いようです。逆に、高学年や中学生から英語を始めたお子さんは、理解力・文法力・語彙力等は強いのですが、リスニングに苦戦している傾向があります。英語の4技能は「読む・書く・話す・聞く」ですが、習得に一番時間がかかるのがリスニングです。特に、ローマ字の学習後は、英語を英語の音として素直に聞き取る事が難しくなります。また、「読む・書く・話す」は自分でコントロールできるのですが(辞書をひく、知っている単語を選べる、時間をかけられる等)、「聞く」に関しては完全に相手次第となり、そこが難しい要因の一つです。

英語の学習は、やる気さえあればいつでも出来ると思いますが、早ければ早いほどよいと思う理由の一つは、時間を味方につけられるという事かなと思います。未就園児や幼稚園のお子さんは、スポンジのほうに言葉を吸収してくれるし、その年齢なりに英語で英語を理解している姿が親御さんのモチベーションとなり、自分自身を思い返しても、一番気合が入る時期だと思います。

でも、その時に芽吹いてきた英語力がそのまま順調に伸びていくのか・・・という話になると、そうではないと正直思います。本当の勝負の時は小学生4~5年生以降かなと思います。

10歳前後というと、急に理解力が伸び始める時。英語の理解も深まり、これから伸びる!という時期にフェイドアウトしてしまうケースがよくあります。それは、親御さんの情熱が薄れる場合であったり、時間の問題、自我の問題、学校との両立などの壁が小学生以降ドーンと目の前に立ちはだかってくる時期であったりするためです。一番英語学習においても脂がのってくる(?)時期が、塾等で子供たちが忙しくなる時期と重なり、両立ができなくなり辞めてしまうというケースが多いのは、しょうがないと思いつつも本当に残念だなと思ってしまいます。

学年が上がるごとに英語に取り組める時間がみるみる減っていきますが、語学習得はやめたら終わりです。コツコツと毎日毎日スモールステップでも前に進んでいくしかありません。特にスピーキングに関しては、しゃべらないと一気に「英語の勘」がにぶっていきます。綺麗な英語で発話していた生徒さんが、塾と学校の受験英語に移行したとたん、英語が喋れなくなってしまった、というケースは本当によくあります。

10歳頃から子供の脳に大きな変化がある時期で、論理的な思考力はグンと伸び、英語を感覚的理解(暗示的知識)から、明示的知識に変換できるようになります。英検準2級くらいまでなら、十分なインプット量があれば感覚的になんとなく解けるのですが、こうした暗黙の「なんとなく」のルールが明示化される事でより正確な英語表現を可能にします。そして、母語能力が一定の完成をみる中学生くらいの時期に、文法などのロジカルな学習がプラスされることで、英語力は爆発的に伸びます。

小学校高学年以降も英語学習を継続する事は、物理的にも心理的にも難しいことだと痛感しています。特に中学生になると、語学学習において最適な時期であるにも関わらず、テストや塾、部活で忙しくなり、英語のインプットに充てられる時間は少なくなり、アウトプットの時間はほぼ皆無になってきます。意識的に英語を話す時間を作らなければ、英語を話す事がどんどん苦しくなっていき、歯がゆい思いをする事でしょう。

「英語を制する者は受験を制する」という言葉もあるように、毎日コツコツと継続する事が結局は「近道」になると思います。塾や習い事など、優先順位を整理する時期だとは思いますが、「英語は継続こそ力、そして近道」という事を覚えていただければと思っています。