本屋さんに行くと英語の勉強法に関する本の多さにびっくりします。インターネットをみても情報に溢れていますね。「まず文法から」「単語を覚える」「発音重視」等、結局どれがいいの??と言いたくなってしまいませんか?日本にいながら英語がベラベラに、なんてキャッチフレーズも多く見られるのですが、一個人の成功がすべての人の成功へとは繋がらないもの。私も「おうち英語」に成功された方の本をたくさん読みましたが、うちの子にはあてはまらないな~と、ガクッとした経験も少なくはありません。

第2言語習得SLA(Second Language Acquisition)はその名の通り、人間がどうやって母国語以外の言語(6歳以降で習得する言語)を習得するかについて研究する学問の事を指しています。第2言語習得のメカニズム・過程を研究し、心理学・行動科学・言語学などの様々な領域から「どんな方法が語学学習に最も効果的なのか」を科学的に解明していくものです。

特に移民の多いアメリカやヨーロッパ等を中心に、ここ数十年の間で研究が急速に進んでいます。アークでも取り入れている多読のアプリは、多くのアメリカの小学校で教科書として導入されていますが、使えば使うほどよくできているな~と感心しています。第2言語を習得する子供達が系統的に英語(スペイン語も勉強できます)を習得できるよう、工夫されていると思います。

ちなみに日本の学校教育は単語の暗記と文法が中心。そもそも日本に英語が導入されのはた「翻訳」する事が中心だったので、単語・文法に赴きが置かれたのは当然だったかとは思います。しかしながら、対話能力が求められる今の時代に、戦前より同じ教育がいまだに行われていることにびっくりしてしまいます。

さて、この数十年の研究・検証の結果、第2言語を習得するにあたり、何が重要なのかが分かってきました。それはインプット。インプットの量が言語習得に関し何より大事な要素だという事が、実証・実験・検証を通し、明らかにされてきたのです。

赤ちゃんの言葉を学んでいく過程でもそれは観察されますよね。だいたい1歳半から2歳くらいになると、単語を発するようになりますが、それまではひたすら周りの音や言葉をインプットしています。3歳くらいになると、単語だけではなく、短いフレーズでしゃべれるようになりますが、大人のしゃべる複雑な言葉は理解しています。聞いて分かるけれど、それが自分の言葉として発せられるようになるには、長い年月が必要になってきます。母国語においてもインプット10:アウトプット1ができればたいしたものだと思います。ちなみにアインシュタインは4歳まで言葉をしゃべらなかったそうですが、ある日突然普通にしゃべり始めたそうです。

アメリカで行われたロシア語の学習実験では、最初から「聞く・話す」を12週間学習した生徒より、最初の4週間をインプットに集中させ、あとの8週間は「聞く・話す」を学習した生徒の方が、はるかに「話す」力も含めた総合力が上回っていたそうです。

また、インプットは「聞き流し」「読み流し」も悪くはないですが、アウトプットを意識したインプットははるかに効果的だという事も明らかにされていきています。読んだことをディスカッションする、聞き取った言葉を言ってみる・書いてみる、などを意識すると、聞き方・読み方が濃密になってきます。最近はインターネットの発達で、英語がいつでも聞ける環境になってきました。でも「いつでも聞ける」状況は意識しないと気が緩んでしまうもの。「一回しか聞けない、聞いた音を書き取らなきゃいけない」状況とでは、聞き方の質は違ってきます。ピアノやバレーなどの習い事も、発表会が前提だと練習に取り組む姿勢は変わってきますよね。

アークアカデミーでも、アウトプットを意識したインプットの練習を兼ねて、「英語暗唱大会」を秋に企画したいと思っています。「英語で多読クラブ」では、年に一度の参観日に英語の暗唱やプレゼンテーションをしてもらうのですが、人前で発表する事が前提だと、英語への意識が変わってきたなと実感しています。

詳細は後日発表しますが、ぜひたくさんの生徒さんに参加していただきたいと思っています。