アメリカの文化人類学者であるルース・ベネディクトの著書『菊と刀』には、日本人の国民性を研究したものが記されています。その中で彼女は、欧米では内面の良心を重視する(罪の文化)のに対し、日本は世間体や外聞といった他人の視線を気にする(恥の文化)と考察しました。日本人の行動を規制するのは内なる良心ではなく、人の目(世間)であると記されています。どちらの文化が良いとか悪いとかいう問題ではなく、自分が背負っている文化を客観的に評価することによって、なるほど!と納得がいくことがよくあります。

例えばある調査では、「マスクが外せない」理由は科学的根拠より、人の目が気になるからと答えた人が75%だったそうです。中高生では、自分の素顔を見せる事自体が恥ずかしくてしょうがない、と感じている子供達が増えているそうです。多数派の意見や方向に従う事が「正義」という暗黙の空気が満ちている、そんな気さえします。

この恥の文化は、ひょっとして日本人の英語習得は阻む要因にもなっているのではないかな~と思う事がしばしばあります。とにかく間違う事が心理的に重いというか、耐えられないというか・・・特に英語ビギナーにその傾向が強く見られるように思います。「恥」の感情にとらわれてしまうんです。実は私自身もそうでした。私たちは偏差値教育の中で英語を学ぶことをほとんど制度的に強要されてきたので、無意識のうちに「人と自分の英語を比べる」ことをしてしまい、「間違いはダメな事」だと刷り込まれているのです。

逆に、英語上級者は、自分はまだまだ英語ができないという、ありのままの自分を認め、素直に学べる人が多いような気がします。なので伸びしろが大きいのが特徴です。

結局「恥」って自意識過剰によるもの。自分は自分、他人は他人という、健全な個人主義もバランスよく養っていきたいものですね。

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