「暇」が創造性を育てる、というのは私の勝手な持論ですが、もう少し子供達、特に中学生や高校生に、生活を楽しむ時間の余裕があってもいいのになと思います。

「暇」が創造性を育てるという持論は、私のインドでの体験から生まれたものです。インドの山奥に滞在中、蚊に刺された小さな傷口からばい菌が入り、左足の踝が風船のように化膿して膨れ上がりました。1日でも手術が遅れると足を切断しなければならないと脅され、意識魍魎のままスラムにある小さな病院に運ばれ意識のないまま手術。当時インドではよくある事だったそうですが、どうも私は監禁状態にされたようで(涙)、外部とは連絡が取れず、けっして清潔とはいえない病院で寝たきり状態となりました。何もできないので、とにかく暇!初めの数日は痛みの為動けず、壁にはいつくばっている「いもり」ちゃんが心の友になりました。上半身が少し動かせるようになると、何かをしたいという衝動に囚われてきました。英語も通じないし、本やテレビはもちろんないので、唯一持っていた汽車の時刻表を取り出し、それを暗記し始め、マハラジャエイクスプレスに乗れば8時にデリーにつくな~なんて、インド中を巡る旅の計画を立てました。座る事が出来始めると、今度は詩を書くようになりました。ノートとペンを持っていた事がこれほどうれしく思った事はありません。病院のスタッフは英語が喋れなかったのですが、絵ならコミュニケーションがとれるかもと思いイラストも描き始めました。これが病院中の人気となり、「会話」が生まれるようになりました。

「退屈」する事によって、創造力をかきたてられ、不満な状況を改善しようと「脳」が自己防衛する事を実感した経験でした。そんな経験を思い出しながら、スマホやゲーム、テレビやコンピューター等、手軽に「暇」を回避するディバイスが、ひょっとして「創造」する時間を奪ってしまっているのではと反省しつつ、「暇」な時間を積極的に作り出していきたいなと改めて思う日々です。

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