令和3年度で全国の小中高校などを対象にした「いじめ認知件数」は61万5351件だそうです。認知件数のみなので、実際の件数はこの倍以上になるかもしれません。日本の深刻な社会病理の一つです。

 

でも「いじめ」の問題って日本だけではなく、人間が集まる所ならどこにでもある問題。動物の世界でもみられる普遍的な問題です。より強いものが弱いものを攻撃する構造です。

 

ただ日本のいじめに顕著なのが、無視や仲間外れといった集団内の人間関係から除外する、いわゆる村はずれ的な構造があるように思います。いじめを行うことを是とする「空気」がその場にできあがり、いじめをやめさせようとする行為は、その空気を乱す行為として制裁を受けるというパターンを学習しているため、止めに入らない子どもの割合は、年齢に比例して増加するようです。身体的苦痛より、この心理的苦痛って耐えられないものがあり、自殺という本当に悲しい結果に終わるときがあります。

 

一方アメリカ等の北米の場合は、基本的な人間関係が相互に独立的であるため、周囲に同調して空気を読んだり、自分を抑えて周囲に妥協することは日本ほど多くはなく、いじめを黙認せず自分の「正義」をつらぬく子供(大人も)がいることは珍しくなく、いじめられっ子が孤立してしまう事が少ないように思います。

 

話は飛びますが、4月24日に、アメリカのFOXニュースの人気キャスター、タッカーカールソンが辞任(解雇?)しました。辞任の理由は明らかにされてはいないのですが、どうもFOXニュースの方針と対立したという見方が強いようです。

 

日本ではあまり知られていないかもしれませんが、タッカー氏は世界中が注目している人気キャスター。FOXニュースはタッカー氏によって視聴率を上げてきたのですが、その彼の年収はなんと日本円で約30億円といわれています。大企業やロビイストの圧力にも屈せず、ジャーナリストとして真実を追求し続けた姿は世論を動かしてきました。

 

タッカー氏って、とてもアメリカ的だったんですよね・・・外部からの圧力がいくら強くても、必ず声を上げる人がいる、権力者に対して立ち向かうヒーローが必ずいる、よい意味での個人主義をつらぬく人がいる、それが私の好きなアメリカでした。日本の某芸能プロダクション創始者の大スキャンダルに大手メディアが一斉に黙り込んでしまう日本とは一線を画すものがあります。

 

日本のメディアの在り方って、「いじめ」の構造によく似ているように思います。「真実」を報道すると空気を乱す行為として制裁をうける、だから長いものにとりあえず巻かれておくことが「正義」、そんな風潮が年々強くなっているように感じます。

 

タッカー・カールソンは、最後のメッセージで、左派と右派の両方を攻撃し、「両政党とその献金者は、自分たちの利益になるものについて合意に達し、それについての会話を遮断するために積極的に結託している」と述べました。

 

突然、米国は一党独裁の国家になったようにも見えますが、外部(内部からも!)の圧力に負けない人々が必ずいると信じてアメリカの動向を注視していきたいと思っています。