英語の「多読多聴」が日本ではなぜ定着しないのでしょうか?

 

口が酸っぱくなるほどお勧めしている「多読・多聴」。なぜお勧めしているかというと、圧倒的な効果があるからです。私のような田舎のおばちゃんの戯言ではなく、あの夏目漱石や政治学者の丸山眞男等、日本を代表するような大大大先生方も、英語の多読を勧めています。多読・多聴をすることによって「英語ができる」状態になります。

では、「英語が出来る」とはどういう状態の事なのでしょうか? それは、英検1級やTOEIC満点といった数で表せるようなものではなく、日本語を介せず、英語は英語で処理できるようになった状態、別の言い方をすると、「英語脳」ができているかどうかだと思います。そして、この英語脳を作るには、多読・多聴が必須なのです。

 

では、なぜこんなにも、英語の多読・多聴が日本では定着しないのでしょうか?その理由を少し考えてみました。

 

【理由1】 日本人の気質に合わない(笑)

 

私達が学んできた方法は「精読」というスタイルで、日本人の気質にぴったりする学習方法です。

精読とは:

  • 自分の現在より難しいものを
  • ゆっくりでいいから
  • 2~3行ずつ、正確に訳す

精読が力を発するのは英語上級者(英検1級以上)。英語初級~中級者は、英語ネイティブ6歳~7歳くらいの子供が読む本をたくさん読み、英語にまず慣れる事が重要です。内容を正確に読めているかどうかは気にせず、「簡単」な本を「速く」、そして「大量」に読む、これはいちいち日英変換せず、英語を英語のまま理解する”英語脳“作りの筋トレなのです。「いい加減がよい加減」。このいい加減を楽しむ余裕が日本人は少し下手なような気がします。

【理由2】 時間がかかる

多読とか多聴って、効果が出現するまですごく長い時間がかかります。これが、おそらく多読多聴の唯一の「弱点」です。弱点というより「語学を習得すること」という営みの本質です。語学というのは習得に本当に時間がかかる。「短期間で」上達できる英語学習法というのはほぼないと思った方がいいです。

そもそも問題集を2~3冊したくらいで英語力がすぐ上がるほど、語学は甘くありません(きっぱり断言)。英語の本を100冊よんだら、英語が少し読めるようになる。英語の映画を100本見たら、英語が少し聞き取れるようになる、そんなものなのです。なので、継続できる人は少ないし、続けられた人は超上級者になれます。「3ヶ月でTOEICのスコア200点アップ」みたいな話もありますけど、それは「TOEICのスコア」が上がったという話であって、TOEICのスコアと英語力にはあまり強い相関関係は有りません。

【理由3】 効果を実感しにくい

TOEICや英検が人気がある一つに、点数として“英語力”を可視化しやすい為だと思います。でも英語の多読って、「伸び」を、外形的に数値化して評価するのは困難です。というか、語学力、言語運用能力というのは数値化したりするのが難しんです。「勉強をした」という実感のないままに、習得してしまっている、そんな感じです。なので、語学学習は「量と頻度が絶対的に重要」という確信がないと、モチベーションが持続しないのです。

【理由4】 多読・多聴の教材の値段が高い!

多読・多聴はとにかくたくさんの本を読む・聴く事。英語多読用の教材も以前に比べて手に入りやすくなったものの、個人で買いそろえようとすると、かなりの投資になります。また、子供は気に入った本は何度も読むけれど、興味のない本は開きもしない、という事もしばしば。せっかく買ったんだからとりあえず読んで!!と思えば思うほど、親の方もストレスアップ。国も英語教育に力を入れるのだったら、各自治体に英語の本が自由に読める図書館を設立するくらいの勢いで頑張ってほしのですが・・・

上記のような理由で、英語学習者は洋書を読むという最高の学習法を諦めて、日本語で書かれた文法書や問題集や参考書に流れていってしまうのかもしれません。テストの点に繋がるという即効性もあるし、勉強した気にもなれます。でも日本人の多くが、何年も英語を勉強してきているのに、喋れないし書けないし読めないし聞き取れない、という事実を考えると、方向性の転換が必要だと気付くのではないでしょうか?

2月15日(水)午後11時~12時、多読と多読アプリの説明会を行います。英語の多読・多聴がアプリを使って簡単に始められるのですが、継続するためには、保護者様の理解とサポートが必須です。興味のある方はぜひ気軽にご参加ください。