英語を外国語として学ぶ日本人の子供達に、絶大な効果を発揮するのが英語の多読(多聴)です。自分自身の経験や、今まで指導させていただいた生徒さんの実績をふまえても、本気で英語を身につけたい人には多読を強くお勧めします。「本気」がいるのは、継続できるかどうかがポイントだからです。本気で継続できさえすれば、英語は何歳からでも、使える英語を習得する事ができます。
多読は最も効果的な学習法の一つであるにも関わらず、日本ではなかなか定着しない理由は以下の三つになるかと思います。
継続できない(結果が可視化できるまで時間がかかる)
多読の読み方、取り組み方が分からない
「たくさんの英語の本」にアクセスするのが難しい
私達が学校で学んできた学習法は「精読」が中心です。精読は一字一字を理解しながら丁寧に読んでいく方法です。一方「多読」は、意味が分かるより、まずスラスラ読む事が重要です。英語のリーディング力を育てる原則は「理解よりも流暢に読めることが先」です。英語を読み始めの子どもに「読むこと」と「理解すること」の二つを要求すると、必ず読書スピードが遅くなります。読書スピードが遅くなるだけではなく、頭の中で日本語に訳す作業が入ってくるため、どうしても翻訳英語になってしまいます。内容の理解は横に置いておき、流暢に読むことに専念する事が大切です。日本語の文字を習い始めた子どもを観察すると、これは一目瞭然です。ほとんどの子どもは文字を「読むこと」に集中しているので、読み終わっても内容をまったく覚えていません。子どもに「内容を考えながら読みなさい」と指示すると、読書スピードがさらに遅くなり、読んだそばから内容を忘れていき、いつまで経っても理解が伴わないという悪循環に陥ってしまうのです。
「精読」の学習法に慣れている私達大人にとって、子供が単語の意味も分からずに読んでいる姿を見ると、不安になってしまうこともあります。ついつい「これどういう意味?」なんて、野暮な質問をしてしまいがちです。多読の目的は、英語を英語で理解する英語脳の養成です。意味を理解し説明できる事が目的ではありません。英語学習は反復練習が大事なのですが、本を読む事で、何度も何度も同じフレーズや語彙に出会いながら、英語がまずイメージとして定着していくのです。このイメージが大切。日本人に一番多い文法上の間違いは冠詞の”a”や“the”の使い方なのですが、これは論理的に頭の中で考えるのではなく、量をこなす事でイメージとしてとらえる事ができるようになります。haveやtakeのような頻繁に出てくる動詞は多くの意味を持つので「多義語」と呼ぶのですが、多義語を学習するときに、訳語をすべて暗記しようとするのは学習効率が悪いです。大切なのはいろいろな用例に触れながら、中心にある「核」のイメージを固めていくことです。haveの中心(核)にある意味は、「取り込んでいる」イメージです。これを中心に文脈ごとに照らし合わせると、自然と訳語は思い浮かぶものです。このイメージは「英語の感覚」と言い換える事が出来ると思います。多読(多聴)によって、この語感が養われていきます。
また多読をすることによって、英語を全体としてとらえることができるようになります。文章中に出てくる単語が分からなくても、全体から意味を推測できる力です。よく日本人にありがちなのが、会話や文章中に知らない単語が出てくると、頭の中が真っ白になり、それ以降の英語が読めない・聞き取れない状態になります。翻訳英語では、英語のスピードについていけないのです。
小学生から英語が教科化され、オーラル中心の英語学習へと移行しています。でも、「喋ろ、喋ろ」と言われても、中身(インプット)がなければ出すものもありません。簡単なフレーズが言えても、会話にはならないのです。初心者の英語学習の比率は、80%がインプット、20%がアウトプットが丁度良い加減。英語の実力が上がるにつれて、この比率を変えていきます。
多読を始める子供にとって重要なのが、どの本を読むか、ということ。 子どもに与える英語の本は「やさしく、短く、楽しい」が原則です。難しすぎる本、長すぎる本、教育的な本を読ませようとすると子どもが逃げていきますので注意してください。
子どもの多読に最適の本は「リーダーズ」です。リーダーズというのは学齢期の子ども、あるいは、英語を第二言語で学ぶ子どもが自学自習で読書力をつけることを目的とした本で、単語や文法の難易度、単語数(ページ数)が徐々に上るようにレベル分けされています。当教室では、多読アプリを提供しております。アメリカの小学生を対象にしたアプリですが、英検準1級~1級の中間くらいのレベルまでカバーしています。3000冊以上の本にいつでもどこでもアクセスできるのは、電子図書館の強みかと思います。
フォニックスとサイトワードの次は、ぜひ多読に挑戦してみましょう!!